おうちでできる!はじめてのピアノ③リズムのれんしゅう
今回のテーマは「リズム」。
音楽の大切な要素である「リズム」について知ってもらい、幼いうちから「リズム」を感じ取れるようにするための練習をご紹介します。
「はじめてのピアノ」というタイトルのわりにピアノを使わない練習ばかりですが、これからピアノを弾けるようにするために必須の課題です。予備練習として取り入れてみてください。
音楽においてリズムは欠かせない要素です。ピアノに限らず、音楽をやる上で、リズム感は最も重要な感覚と言っても過言ではありません。
ピアノを演奏する時、指を速く動かしたり、しっかり良い音が出すことはもちろん大切ですが、それもリズムに合ってなくては全く意味がありません。リズム感が欠けるだけで演奏が台無しになってしまうのです。
お馴染みのメロディーで実験してみましょう。
皆さんご存じの『むすんでひらいて』です。
次に、音の並び順はそのままで、リズムだけ変えたメロディーを聴いてみてください。
全く別の曲になってしまいました…。
事前に説明されているので、無理すれば『むすんでひらいて』に聴こえなくもないかもしれないですが、何も知らずにこのメロディーを聴いたら何の曲だか分からないでしょう。
ピアノを続けていくうち、徐々に複雑なリズムの曲を演奏するようになる機会も増えてきます。リズムを意識してこなかった生徒さんは、その時に行き詰まってしまうこともあるのです。
これまで大勢の生徒さんたちを指導してきた中で、教えるのが一番難しいと感じているのがリズムの取り方です。子供、大人問わず、リズムの取り方を間違えている生徒さんに直してもらうのは時間がかかります。
同じ環境で育っている兄弟姉妹でも、一人はリズム感が良く、一人はリズム音痴というケースも多々見てきました。
そして、成長すればするほど感覚の矯正は難しくなります。リズム感に難があると感じたら、なるべく早く手を打つ必要があります。
文字や数字は、成長と共に理解力が上がれば覚えるでしょう。日常生活の中で自然に身に付いたり、小学校できちんと習うことで強化されていきます。
リズムは、頭で理解できれば良いというものではありません。理屈では分かっていても、身体が反応しなければ意味が無いのです。日常生活で必須の能力ではないですし、学校の音楽の授業も、一人一人リズム感を正すまでは行き届かないです。要するに、放っておいたら育たない感覚なのです。
これからピアノを弾けるようにしたいお子さんには、ぜひ早いうちにリズム感を身に付けられるよう対策してください。
拍子はご存じでしょうか?
普段、皆さんが聴いている音楽は、拍子に沿って作られているものがほとんどです。
有名な童謡を例に挙げると、きらきら星は4拍子、うみは3拍子です。
「きらきら ひかるー」のメロディーに合わせて「1,2,3,4」と数えるとぴったりハマりますよね。
「うーみーはー ひろいーなー」だと「1,2,3」が合います。
歌ったり楽器を演奏したりする時、この拍子を感じ取れる感覚が非常に大切になってきます。
今回はリズム練習の導入編です。基本的な「音楽に合わせて拍を取る」ことを重点的に行い、リズムを感じ取る感覚の土台を作っていきましょう。
まず、リズムが取りやすい2拍子の練習から始めます。4拍子もざっくり言うと2拍子系なので(2拍子×2)、この段階では2拍子と4拍子の違いは気にせず、どちらも同じように練習して構いません。
練習方法は簡単。2拍子の曲に合わせて手を叩くだけです。
最初は、アルプス一万尺の手遊びのように、お子さんと二人で向き合って手を叩く練習をしていきましょう。その時、1拍目と2拍目を区別するために動作を変えます。
単純な練習ですが、これを一定の速さで合わせるのが苦手なお子さんもいます。ここで苦戦するとリズム感に難アリなので、早いうちに直せるよう気にかけてあげてください。
できるようになったら、2拍子か4拍子の曲に合わせて練習します。
最初は、メロディーがシンプルで合わせやすい童謡などが良いでしょう。
♪お薦めの曲…きらきら星、チューリップ、ちょうちょう
伸ばす音で動きが止まらないように注意してください。
例えばチューリップの冒頭「さいたー」の「たー」は2拍分なので、伸ばしている間に相手の手を叩く動作(2拍目)をしなくてはなりません。「た」で自分の手を叩いた状態のまま停止しないよう注意しましょう。メロディーのリズムにつられることなく、一定の速さで手を叩くことを練習してください。※以下、参考動画
次に速い音符が入った曲で合わせてみます。
♪お薦めの曲…ぶんぶんぶん、かえるの合唱
「ぶん/ぶん/ぶん/(間)/はち/がと/ぶー/(間)」
冒頭の「ぶんぶんぶん」より「はちがとぶー」の方が早口になるので、そこでつられずに一定のテンポを保てるようにします。※以下、参考動画
次は付点のリズムの練習です。
♪お薦めの曲…メリーさんのひつじ、かたつむり、小さな世界(サビの部分)
「メー/ーリ/さん/のー/ひー/つー/じー」
「メーー」と伸ばしている間に2拍目を叩かなくてはなりません。
このリズムは、ピアノで弾く時にもズレてしまう人(子供に限らず大人も)が多いです。早くから身体に馴染ませておきましょう。※以下、参考動画
ここまでできるようになったら、今度は一人で合わせられるようにしていきます。
最初は、お子さんと一緒に同じ動作をして、動きを見せながら練習してください。「パン・グー」と言ってあげると分かりやすいと思います。
動作を覚えたら、先ほど練習した曲に合わせてみます。自分で歌いながらできたら素晴らしいですが、難しければ親が歌って本人は手を動かすだけでも良いですし、スマホで音楽を流してそれに合わせても良いと思います。
徐々に、親が一緒に手を叩かなくても一人で動けるようにしていきます。
その時、一人だと音楽とずれてしまうようでしたら、そのまま進めない方が良いです。「ちょっとずれているけど、まぁいいか」とスルーしてしまうと、後々苦労することになります。
ここで正しい感覚を身に付けることが大切なので、ずれてると思ったら前の練習に戻ってください。一緒に手を叩くのをしばらく続けて、また一人でやらせてみて、ダメなら戻ってを繰り返します。
同じ練習ばかりだと飽きてしまうので、曲を変えたり、カスタネットなどの楽器を取り入れるなど工夫すると良いでしょう。変化を付けながら、根気よく諦めずに続けてください。
手を叩くだけなら簡単!という様子なら、次は足も動かしてみましょう。2拍子の曲は行進に合わせることができるので、「1,2」に合わせて歩く練習をします。
できたら、手拍子も合わせて、手と足同時に動かせるようにしてみてください。
♪お薦めの曲…ミッキーマウスマーチ、さんぽ、アンパンマンのマーチ
日本人は3拍子が苦手と言われています…。確かに、レッスンしていても3拍子の曲で苦戦する生徒さんは多いです。私自身もあまり得意じゃないかも…(苦笑)
ここでは、先ほどの2拍子の練習を踏まえ、3拍子の練習に移っていきますが、実際のレッスンでも習得するのに時間がかかるお子さんもいるので、焦らずじっくり取り組んでください。
2拍子の時と同じように、お子さんと向かい合って手を叩く練習から始めます。
2拍子では自分と相手と1回ずつで分かりやすかったのですが、3拍子では、3拍目にもう1度相手の手を叩くことになります。これを忘れやすいので、気を付けて練習してください。
2拍目と3拍目を右手と左手に割り振って練習する方法もあります。「パン、右、左」と言いながら練習すると、左右を覚える手助けにもなるかもしれません。
動きを覚えたら曲に合わせての練習に移ります。童謡には3拍子の曲が少ないのですが、使いやすい曲をいくつか挙げておきます。
♪お薦めの曲…うみ、ぞうさん、こいのぼり
私のレッスンでは、一番認知度が高そうな『ぞうさん』で練習することが多いですが、最初が付点のリズムなので、もし難しいと感じたら『うみ』の方が合わせやすいかもしれません。
「ぞー/ーう/さん」…2拍目の最初が「ー」になっている。「ぞーー」を伸ばしている間に2拍目を打つので、タイミングが分かりにくい。※以下、参考動画
「うー/みー/はー」…3拍とも拍頭のタイミングで発音する。歌に合わせて手を打てば良いので分かりやすい。※以下、参考動画
2拍子の練習同様、一人でもできるようにします。
「パン・グー・グー」と言って覚えましょう。
2拍目と3拍目の動きを変えた方が覚えやすいようなら、手→肩→脚など1拍ずつ叩く部位を変えても良いです。
動きが身に付いたら音楽に合わせて練習してください。
ここからは、ピアノの教本を練習する時の注意点です。
音符を読んで順番通りに弾くことができたら、一定の速さで合わせられるようにする必要があります。指が動きやすいところだけ速く弾いて、難しい部分は弾けないから遅くなってしまう…それでは音楽本来の姿が歪められてしまいます。
まだピアノを始めたばかりの幼児にそんな細かい事まで教えなくてもと思われるかもしれませんが、前述した通り、リズム感は音楽の要であり、且つ年齢と共に修正が難しくなる感覚です。成長してから行き詰まって後悔しないためにも、幼児期にリズムをいう概念を植え付けておきましょう。
ピアノの教本を練習する時は、まず音符を読んで、その順番通りに指を動かせるようにしていきます。
それができるようになったら、テンポに合わせて弾く練習をしてください。
一つずつ音を読んで弾くことはできても、一音ずつ止まってしまい、一連のメロディーとして捉えることが苦手なお子さんもいます。これは、文字を一文字ずつ読むだけで、単語や文章のまとまりとして認識できていないような状態です。この状態では音楽になりません。
メロディーとして認識するには、歌って覚えるのが良いと思います。テンポに合わせて音名で歌う練習をして、すらすら歌えるようになったらピアノで弾いてみましょう。自分で歌いながら弾けると尚良いです。
2分音符などの伸ばす音符は、弾いている間に拍を数えなくてはなりません。
ここで気を付けていただきたいのは、伸ばす音の次の音のタイミングです。
「2分音符は2伸ばすよ」と言うと、「1,2」と数えた後ならいつでも次の音を弾いて良いと勘違いされてしまいがちですが、その音が2拍伸びたら、次の音は3拍目で打たなくてはならないのです。
伸ばす音が出てきたら、楽譜に拍を書いて「1,2,3,4」と数えながら弾く練習をしてみてください。
速さを合わせるためにメトロノームを使う方法がありますが、ピアノを始めたばかりのお子さんがメトロノームに合わせて弾くのはハードルが高いです。
特にデジタルの音が鳴るだけ(動きが見えない)のメトロノームに合わせるのは難しいケースが多いので、メトロノームの代わりに手を叩いてあげるのが良いと思います。なるべく、お子さんから見える位置で手拍子を打ってあげてください。
とは言え、メトロノームに合わせて弾くこともできた方が良いですよね。
その場合、まず一つの音から始めると良いでしょう。一つの鍵盤をメトロノームの速さに合わせて連打するだけです。動きが簡単ならメトロノームの音を聞く余裕も生まれるので、よく聞いて合わせるように練習してみてください。
最初は1本指から始めて、右手と左手交互に4回ずつ、2回ずつにするなど、徐々に動きを増やしていくのが良いと思います。
ここまで、ご自宅でできる簡単なリズム練習をご紹介してきましたが、最後に大切なお願いです。
もし、教える側のご両親がリズム感に自信が無かったら…無理におうちで頑張ろうとせず、教室に通わせてあげてください。リズム遊びを中心とした幼児の音楽教室はたくさんありますし、ピアノ教室でリトミックを並行して教えているところもあります。
ピアノは、小学生になってから始めても遅くないです。ちゃんと練習できれば、よく弾けるようになります。
リズム感は、早いうちに対策しないと手遅れになるかもしれません。
お近くのピアノ教室が、リズム教育を重視していないようでしたら、ピアノを習うより先にリトミックを習わせることをお勧めします。リズム感を養うことを最優先に考えてあげてください。
今回は、音楽をする上で欠かせない「リズム感」を身に付ける練習をご紹介しました。
ピアノを使わない練習ばかりで、楽器に触りたいお子さんにとっては少しつまらないかもしれません。ですが、これからピアノを弾くために必要な練習なので、少しずつでも取り入れていただければと思います。
すぐに成果が出なくても大丈夫です。毎日コツコツ積み重ねて、将来ピアノを楽しめる土台を作ってあげてください。
このブログでは、日々のレッスンを通じて気付いたことなど、初心者から上級者まで、様々なピアノ学習者の皆様に役立つ情報をお届けします。